バランス
聞きたいことがあるということは、さて、幸せなのかその逆なのか、とか考えてみる。おそらく聞きうる相手がいるということ自体は幸福というものに分類されるのだろう。幸福から不幸は生まれる。
聞かれるともなく質問されるということは、さて、何をもたらすだろう。その時質問者と解答者はそれぞれ何を失うだろう。希望、未来、失望、夢?
なんでもいいけどそれはたぶん抽象的ななにものかだろう。
抽象は具象と手を結ぶけれど結んだ手と手はしょせん別の手、皮膚は触れるが別の手。でも、それだって嘆くほどのことではないわけで、つまり別々だからこそつなぐ意味だってあるのだ。意味なんてどうでもいいってことでさ。うん。
歩く足が地面と関係するようなものだ。踏みつけるから歩ける。痛いのは当たり前だし、痛みを与えることも当たり前、そう、あたりまえ。
耳と口がうまく働くということがほんとうにできたならどれだけ便利だろうか、とかときどき歩きながら思って、そういうときはすこしだけうつむく。