あるノーベル平和賞の「うそ」

偽善者が得をする世界: Meine Sache 〜マイネ・ザッヘ〜

理工系のノーベル賞の信頼度はわかりませんが、人文系のノーベル賞の選考基準はかなり疑問といわざるを得ません。特に平和賞は、時折とんでもなく誤ったメッセージを世界に送ることがあります。

その象徴は、1992年にノーベル平和賞を受賞した、グアテマラ先住民のリゴベルタ・メンチュウです。

彼女は80年代に「私の名はリゴベルタ・メンチュウ」という自伝を発表し、先住民族の人権活動家として一躍世界に認知されました。

貧しく学校にも行けず、白人地主に虐げられた悲惨な少女時代を描いて、先住民族の差別を世に問うたその自伝のヒットにより、彼女はリゴベルタ・メンチュウ基金を設立し、世界の被差別民の代表ともいえる地位を手にしました。自伝が出版されなければ、彼女は埋もれたままだったでしょう。

ところが、ノーベル賞受賞後に、本の内容に多くの嘘が含まれていることが暴露されたのです。実際の彼女は地主の娘で、教育もきちんと受けていました。

その後のノーベル財団の対応などについては引用元の本文をご覧ください。知らないことだったので、なかなか興味深かった。

自分がおなじ事態に出会ったなら、さて、どう収拾するか。ノーベル財団は「目的を達成するための手段となりうるならば多少の瑕疵もよし」という対応をとったわけですが、さて、理念を売りとする場合においてそれが最良の選択かどうか。中学生レベルの討議の材料にいい素材かも。