蜂の巣にキス

ダークファンタジーの名手として知られる作者の、日本においては九年ぶりとなる新作。スランプに陥った作家が再会した過去の死体に端を発するミステリー。前までは初訳出はハードカバーだったけれどこれは文庫。


まさかと思って奥付を確認したら確かに新作で驚いた。もう書くのを辞めてしまったのかと落胆しかけていたからなあ。読み始めるとああなつかしきキャロル節、ミステリーの皮を被っていても、この作家特有の「現実が歪んで組み換えられてゆく崩壊感」は健在。
しかしやはり真骨頂はダークファンタジーにあると思うから、ぜひ例の作品群の新作を、と期待してしまう。こんどは三年以内くらいだといいなあ。