帰路へ

長かったような、でも物理的には短い間の旅もまもなく終わり。さまざまな風景の記憶が断片になって浮かんでは通り過ぎてゆきます。


たぶん、次にこんな旅をすることはないでしょう。それをいえば、どんな日々でもそりゃあ、二度とはこないのだけれども。


時間は過ぎてゆきます。今朝、最後に二人で、エレベータホールで立ったまま静かに語り合った新郎と次に会う日はたぶん、あと十年くらいしなければ訪れないでしょう。お互いにその頃、どうしているかおぼろげな想像しかできない。有限の存在である人間にとって、認識の地平線を超えた、まるで無限に等しいほどの時間。



だけどそれでも人と人はつながっている。