おめでとう 川上弘美

おめでとう (新潮文庫)

おめでとう (新潮文庫)

人間の存在の深くよどんでどうにもならない部分に切り込む、という文芸の方面では、どうも女性作家のほうが総じて巧みだ。で、当代でも屈指といえるだろう作者の、ちょっとした小品、12の短編で構成されたのがこの作品。
いずれも細やかな神経の気配といったものが、ウィットとゆとりに富んだ表現によってかろやかに描かれていておすすめでありますよ。