春先のゆきだるま

 雪だるまが転がる。そこは坂道。とても冷えている。

 みるみるうちに雪玉は大きくなる。自らの重みをましていき、やがて自壊する。雪だるまはそんなに丈夫ではない。

 春になれば雪だるまはいつしか小さくなるのに、あせって、太陽の当たる南へ行きたがったからだ。欲することは大抵、よくないことを産む。だからといってそれが悪いというわけではないのだけれど。

 春先の崩れかけた雪だるま、それが引きずるなにごとか。