それでも羽根は背中に

 羽根があったらまず何をする?と昔ある人に質問された。なかなかに微妙かつ範囲の定かでない質問。あるいはレトリカルクエスチョンのたぐいだったのだろうけれどさ。

 その時は、普通に地上を歩くかな、飛んでいてもきっと面倒だから、とかいった軽口で返事した。実際、走るだけでさえあんなに苦しいのに、飛ぶだなんて考えただけで、そりゃもう地獄のようだろうさ。で、幻滅された。うーん、じゃあ空を飛びたいね、とか応じればよかったのかね。ところが私は本質的には幻想を抱いたりできない人間だからそういうのはできない。そういうことでした。

 で、いまその質問をされたらどうだろう。そう考えてみて、よくわからんなあ、というのがいまだに現状。
 でも、地上を走るには羽根って邪魔だよな、ってのは今でも思うことであります。空を飛ばない限り、羽根なんてないほうがいいに決まってる。

 ほんとうの問題は、問題を選べないところにあるのだ。