人は存外に器用なもので、自分のなかに穴を掘ることができるようだ。ドツボ。で、単純な作業がそうであるように、やりはじめるとそれは案外やめることができない。結局出ることができないほどに深い穴ができあがり、その底から彼もしくは彼女は、ぼんやりと…
駅前の繁華街に人影まばら。自分の靴音がこだまするのに立ち止まり、すこしだけ本気で、一瞬、耳を澄ます。
黄色い街灯に惹かれ、必要もないのに足を伸ばす。まるで集蛾灯のよう。 街は黄色い光に満ち、家路を急ぐ人の足は速い。流れに逆らい、独り、夜の中へ。
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