初心者

はじめてのことだからと戸惑う様子を眺める。その気持ちをもったのは何年前だったろうか。おぼろげな記憶。そのときの自分を肩越しに感じながら、声をかける。
とまどいは簡単に恐怖や怒りに変わるけれど、うまくあつかえばほどけてくれる。
だから、そうする。

初めてだったことは、何度かたつうちに初めてではなくなる。そうなってしまうと人は簡単に、自分がついさっき始めたことを忘れてしまう。まだ終わってないんだよ。それは入り口を通っただけのこと。道はこれから始まるのさ。

だから、手を伸ばす。