目的論

 波の数を読もうとしても読めない。


 石が投げ込まれるとさざなみが広がる。大きい石ほど大きな波が立つ。石が放り込まれるポイントはおおよそおなじだったりするのは、投げるのはたいてい決まった人だったりすることがおおいからだ。
 目立つ場所から石を投げる人を皆は眺め、賛美したり、あるいは謗り、貶す。そういう波が広がって海は埋め尽くされる。とがったり、変わった見掛けの波濤は目に面白い。

 波の埋めた海は結局、止まっているようなもの、という人がいて興味深い。どうやら目的もなしに打ち寄せる波に意味を取れないらしい。波のひとつであるに過ぎない君が、立ち止まり、波を眺める。さて、ゆれているのはどちらですか。


 波の数を読むコツは、ひとつの波に目を奪われないこと。そのために遠くへ引くこと。
 もしそれが叶う夢なら、の話だけれどさ。