古い墓

 予定は変わり、人は動く。冬も半ばを過ぎて変わるものごとは多い。人は去り、また変わり、忘れ、失われる。

 たとえばそれはピラミッドのようなものだといったのは、それは冗談混じりだったけれどウソなんかじゃない。安定していても、乾いた砂漠に見捨てられ、表面は荒れ果て、中には死体が一つ。ときとして宝物さえ盗み出されてなにもなかったりして、さ。

 それでもピラミッドに意味がないというわけじゃない。

 同じ日々は訪れず、かといってまるっきり違うと言うわけでもなく、毎日はほんのすこしずつずれながら変転していく。結晶がずれながらゆっくりと光を失っていくようなものかもしれない。気がつけばすっかり別の輝きを見せているのだ。それはそれでわるくない。
 わるくはない。