あいまいにする
語尾を乱してあいまいにすることは簡単だということくらい判っているのでしょう、と言われた。ただうなずく。そう、それは簡単だ。
だが率直になることはとても難しい。のぞき込んだ途端、何をしたかったのかなんて消えてしまうこともある。目を据えたとたんにあやふやになる蜃気楼のような、虹のような。
かといってそれはけっして消えてしまったわけではないらしく、どこか遠くのほうで想いが暴れているのだけは確かに感じられる。肋骨の檻の中でぶつかり合っている。それがマボロシだとしたところで苦しさがマボロシとなるわけではないのなら、消えてしまうようにきちんと見なければいけないのだ、たぶん。
遠く、目をこらす。
なにが見えるでしょう。
なにを伝えるのでしょう。
コミュニケートというのは実際、とてもむずかしい。なぜ難しいかというと、それはいつだってあらかじめ失敗しているからなんじゃないかな、と思ってみたり。でも伝えることをあきらめはしない。