片手の拍手

Blank2005-03-04

 言葉で言っても通じないからといって言葉を捨てるのは間違っている。でも、言葉で通じることはとても難しい。そもそも通じ合うこと自体がとても難しいのだ。誤解、行き違い、齟齬、ずれる会話、そらされあう視線、見られぬ場所で言葉もなく流される涙。ここはそんな諦めを誘うもので満ちあふれている素敵なゴミため場。ハロー、なつかしいトラッシュボックスへ今日もようこそ。クズやカスがゴロゴロしていて、穢れていて、触るだにおぞましく、興味本位でかき乱す者はいるけれど(ほんとうに驚くほどの数がいるけれど)、なにもここには転がっていないと思っていたのさ。君はそうじゃないのかい?そう信じているのならそれでもいいさ。

 けれど、でも。ときどき信じられないほどに美しい宝石が転がっている。それは悲しいことに私のものではないけれど、とても美しい輝きで世界を明るくさせてくれる魔法の輝きをまとっていた。本当にそれは美しい輝きで、こんな世界をささやかに照らしていたのさ。

 ささやかなその魔法は解かれるときのためにかけられた。ありがとう、さようなら。それでもその光はきっとずっと輝きつづけることでしょう。願わくば、もう泣かないで。