雪のあとで。

ひとしきり、雪の話題。たいした雪ではないけれど、それでも珍しさのせいで会話は弾む。酒を飲みながら眺める流れるログ。すこしぼんやりとした頭には会話として把握するのがわずかに困難で、その困難さが心地よい。

たぶん、意識が低下することで意識的に行為するため、逆に見えてくる部分があるのだろう。だけどそれがどこなのかは、結局よくわからない。

わからないままにつけっぱなしのテレビでは、地殻の大変動について説明をしている。地面はこんなに熱いけれど、踊りだすほどじゃない。

テレビを消す。

耳を澄ましてみるけれど雪の音は聞こえない。過ぎてしまえば、気にもならなくなるものだ。一瞬うかぶ、あいまいな記憶、声、風景。指先の形、靴の音。いまさら騒ぐほどのことじゃない。

たぶんもう、ほとんど解けて消えている。