思案

さみしさについて話した

サミシサについてすこし話した。独りに立ち戻ったときに実感する寂しさもあれば、数多くの人々といるときに感じる淋しさもある。結局のところ寂しさというものはなんだろう?どこにあって、どこからくるのだろう。それは孔のようなものなのだろうか? よくわ…

春先のゆきだるま

雪だるまが転がる。そこは坂道。とても冷えている。 みるみるうちに雪玉は大きくなる。自らの重みをましていき、やがて自壊する。雪だるまはそんなに丈夫ではない。 春になれば雪だるまはいつしか小さくなるのに、あせって、太陽の当たる南へ行きたがったか…

アンヴィヴァレントな自分を観察しながらはしゃいでみるふりをしてみた。たいしたことじゃないけど。ドライアイスのように冷たすぎて、あたかも暖かいような錯覚を覚えさせる目。濡れもしない。 それは別に疲れももたらしはしない。価値判断を留保した感じ。…

忘却

質問をされたけれどどこに書いたのか忘れた。書くことは確かに忘却に似ている。

遠い道をゆっくりと独りで歩いていく。それはとても寒い道だ。でもそれは心地よい。歩く足を一歩ずつ確かめながら戻らずに歩く。目的地は遠い。 空は低い。雲が多くて夜のようだ。月も星も太陽もでておらず、ただうすぼんやりとした明かりが辺りを不確かに照…

失うための手続き

喪の仕事というのがあって、要はさまざまなモノゴトを整理するのは時間がかかるということで。そういう整理整頓の期間なのだな。柄にもなく考えていることがスピンアウトしてみたり、漏洩されてみたりして。コップの中の嵐が想定されますな。 などと客体視し…

歯を磨く。

鏡を見ながら歯を磨いてみる。改めてよく見てみると人間の顔というのは奇妙だ。さまざまな筋肉が拮抗して成立しているのが判る。いろんな部分の筋肉を動かしてみる。なにやっているのだろ、とか少し思うけどオーライ、ノープロブレムだ、ドントウォーリー。…

発話すること、しないこと。

シンプルなことをシンプルに把握することが難しくなったのはいつのころからだったろう。喋る言葉が枝葉を持ちはじめた頃と、それはたしか、重なっていた気がする。言葉と思考は同じなのだな。 一つずつの言葉を吟味してはなしていたらとても話せない。でも、…

不在の城

寂しいことを言う人が居て、でもできることはなく、してほしいのかもわからないのでそっとしておくのがよいのだろう。なにかをすることなんてできやしない。 城の画像をぼんやり眺めて、でも結局なにを見ていたのだろうと考えると少しだけ憂鬱になる。だとす…

駆動するもの

とても単純ではあるけれど複雑な効果を生むものがそれを駆動する。駆り立てられ急きたてられるものは惑いながらつまずいて、周りを見渡すゆとりなどあるはずもない。それでも立ち止まっては、あたりを見渡す。ああ、ここはなんてひろいんだろう。ためいき、…

呪詛に似たもの

そのころ表情が違うといわれたことがあった。意表を突かれた。どういうことかは判らなかったけれど言っていることは判った。状況は変わり、それからだいぶ経ったわけだけれども、別に何かが変わったかというと、そうでもない。と思っていたわけで。 方法は別…

ラングとパロール

期せずして書くことについて語る行為が重なったわけだけれど、うまく書くのはたいしたことじゃなくて、らしく書くのが難しいのだ。洗練されてなお、らしくあるというのはむずかしいことだ。しがらみをひきずりつつ書くのも悪くないけど苦しい。 でもそういう…

チャットの夜

複数窓。それなりに話す。入る人眠る人黙る人レスする人冗談いう人笑う人。泣く人。相談する人。いろいろいるね、いろいろあるよ。いろいろあるけど、でも話すことはできる、それで伝えようとさえ思わなければ、けっこうなんでもできるものさ。

シンプル・ライフ

シンプルなことを単純にやっていると複雑になる。脱出するために複雑なことをして単純化をする。また繰り返す。しかしそれでは対応ができない事柄が出てくる。どうしよう?その時は迷う。迷いながら、でも何らかの形で選択肢は決定される。もしかするとそれ…

破壊

そう、他人によって回復したものは他人によって壊される。結局は自分でどうにかするしかないのだろう。他人はそのためのきっかけにはなりうるけれど、決定的ではない。あたかも解決されたようにみえがちだけどさ。 適度に扱ってほしいけれど邪魔はしてほしく…

退屈と大切

待ちわびられること、待ちわびること、そのことがキライだという人と話した。それが負担になるのなら、待たれることは確かに重い。タイクツとタイセツが似ているように感じるというのは、どうだろうかとか考えてみる。土台、答えがそんな設問にありましょう…

視野角

遠くに引いて構えるとよく見えるけれど見えるだけでは本当は駄目なのだ。でも見えないことには恐ろしい。そこで引いて構える。はいダメ、いっちょうあがり。 空をみる人は空だけをみてしまいがちだし、足元しかみない人にとっては青空も星空も存在しない。で…

発散と収束

何事につけても距離感というものは大切だ。離れるということだけではなく、適切な近さへと踏み込むパワーというか蛮勇というか、そういうものまで含めての話。これが案外難しくって、実行するのは至難の業。のめり込みすぎるとたいていロクでもないことにな…

曲がり角の向こうの猫

明日のことを考えてみる。大まかな部分が見える。細部はたいてい、もうろうとしている。でも所々奇妙に細かくイメージされていたりして、まあたいていそういうもんだ。あさってを同様に想像してみる。より、見えない部分が増えるかと言うとそうでもないとき…

散文は散文

しかし結局のところは、慌ただしいこと、余裕のないことが原因であるのだろう。散文的な結論。大概の事柄は、散文的なものなのだ。

ここにない空

(君がこの世の全てが幻だというならば、それはまぼろしのほうに責任があるのではなく、僕たちの側にこそ問題があるのかも知れない。) 君にしてみればどこかでお仕着せのようで、望むこととは微妙に違うように動いているくせに、しかしそんなに酷い齟齬があ…

情動の定石

論理的になって話していると相手はそのことに苛立つ。それはまるで、感情的になっている相手に対して感じる感情と同じだ。論理と感情は似ている。 ではその両者を架橋する関係というのはなんだろう。脳味噌にも脳梁というのがあって二つの脳がつながっている…

夢の終わり/終わりの夢

終わりの判っている夢は魔法だろうか。それとも別のなにかなのか。あなたは独りでいまもすこしうつむいてそのことを考えているのだろう。見なくてもわかる。きっとその角度、姿は前と少しも変わっていないことだろう。 それは誰も見たことがないくらい綺麗な…

存在の不在

どうでもいいことだから、どうでもいい。それ以上考えると深みにはまってしまうから。だから距離を措く。それは卑怯なことだろうか。 けれど、そういうときに卑怯になることを選べないほうが、これはまた別種の問題を生む。そういう気もする。 問題は常に、…

猫について話す言葉

猫について話すことは一種のサミシサを伴う。どこにもいないようでいて猫はいつでもそこにいるものだという錯覚があるからだ。実際はそんなものではない。猫は最初からそこにはいないし、最後までそこにいることはない。 だが、猫は猫であるわけで、それにつ…

聞く耳

その足取りに理由がないように、その顔つきにも心にも理由なんてないのだ、といってはみたらしい。けれど納得してくれないという。まあそりゃあそうだわな、とひとりごと。 人間は読解能力を持っていて、ときどきそれは邪魔になる。

谷の風

谷間に充ちた声は風と同じで、聞き取ってもらうことは逆に難しくなるものです。あまりにも当たり前にそこにあるものだから、まさかそんなことは、と思わされてしまうのです。 遠く、声を高く、掛けて見ても、届く時もあれば丸っきりの徒労に終わることも多い…

フタなし

永遠に閉ざされて明かされる事のない秘密のようなものだ。ひどく明るすぎてどこから閉ざされたか、どこに鍵があるのかさえもう誰にも判らない。開ける事を忘れ去った箱ほど強固なものはない。 案外、中は空っぽだったりするけれど。

古い墓

予定は変わり、人は動く。冬も半ばを過ぎて変わるものごとは多い。人は去り、また変わり、忘れ、失われる。 たとえばそれはピラミッドのようなものだといったのは、それは冗談混じりだったけれどウソなんかじゃない。安定していても、乾いた砂漠に見捨てられ…

とぎすます

磨き上げるのはなんのためだか知らないけれど、それは重苦しいばかりってわけじゃないのだ。などと、つらつらと考えてみる。 軽やかさが足りないのはまだ修養が不足しているからではある。そのあたりを意識しつつ、さ。 たばこを吸いながらそんなことを考え…